手形とは
手形は有価証券で、約束手形と為替手形に大きく分けられます。
現在の手形制度は、元々はヨーロッパで行われていた制度です。日本に導入されたのは明治のことで、その後、日本独自の形で運用されています。
日本には江戸時代から、遠く離れた地域との取引では、現在の為替手形のようなシステムが使われていました。手形を発行する者が、受取人に対する支払いを第三者に委託して行うための有価証券です。しかし、現在、この為替手形はほぼ使用されなくなっています。
約束手形は、手形を振り出す者が、受取人(もしくは指図人)に、特定の日までにお金の支払いを約束するものです。通常、3ヶ月ほどの期間の信用を担う方法として利用されています。
手形は、以下のような目的で使われるのが一般的です。
運転資金が少ない場合などによく使用される「商業手形」、貸付の際、受取人を貸主にして手形を振り出す「手形貸付」、そして経済的な信用を持つ者が手形を発行し、金融機関で手形割引により現金化、さらに資金繰りに苦しんでいる業者へと手渡す「融通手形」などがあります。
信用取引と手形取引
商取引においては、通常は信用取引が行われます。信用取引(掛取引)は、商品やサービスを提供された業者が、請求書に記載された期日までに支払いを行う取引の形です。
もうひとつの支払方法が手形取引です。手形取引では、商品やサービスを提供された業者が、一定期間が経過したあとに支払いの約束をする「手形」を振り出します。受取人は、その一定期間が経過したあとに資金として利用可能です。
手形取引は、手形を振り出す側にとっては大きなメリットがあります。信用取引の場合は、法律により支払いを60日以内に行わなければなりませんが、手形取引の場合は、90~120日が支払いの期限になります。つまり、手形取引により、振出人側は資金繰りを改善させることが可能です。しかし、これを逆手にとり、大企業が下請け企業に対して手形取引を行い、下請け側が苦しむケースが増えています。
手形取引の流れ
手形取引の流れは下記の通りです。
- (手形の受取人が)商品やサービスを提供
- 商品やサービスを提供された企業が手形を振り出す
- 手形に記載された支払期日に、手形の受取人が取引銀行に手形を持ち込む
- 受取人側の銀行と振出人側の銀行が、手形交換所にて手形を交換
- 振出人側の銀行が当座預金から手形に記載された金額を引き落とす
- 振出人側の銀行が受取人側の銀行へ手形の金額を送金
- 受取人側の銀行が受取人に手形の金額を支払い
手形と小切手の違いは?
手形と似たようなものとして「小切手」を思い浮かべる方もいらっしゃると思います。しかし、手形と小切手は、実はまったく異なるものです。手形は、割引を依頼する場合を除き、基本的に期日が来ないと資金化できません。小切手は、受け取ったらすぐに現金化できます。